2022/10/05

なんだかんだでちゃんと朝起きて授業に出る。しかたないとはいえ外国人向けのロシア語の授業で読むテクストは異様につまらないものが多い。ぜんぜん集中力が続かないうえに、教室前方に備え付けられたモニター上に映されたテクストを読まされるのだけど、細かい文字が全然読めず、自分の視力の低下が著しくて気分も落ちるし目も疲れるし肩も凝る。

レギストラーツィアを無事に終える。1ヶ月ほどパスポートを預けることになるので、その前にお酒を買った。グルジアワインが300ルーブルほどで買える。質を考えると日本では信じられない値段だ。コンビニで同じくらいの値段で買えるワインは保存料のせいか妙な酸味が喉にきつく頭も痛くなるし悪酔いする。

先日、つい勢いで買ったタルコフスキーの論集がおもしろい。ユリエヴェツにあるタルコフスキーのアルヒーフの、とくに音声記録を発掘した発表を基にした論考が載っていた。インタビューの多くは出版されているが、書き起こしされていない部分も豊富にあり、さらに文字記録にはならない声色のニュアンスや言い淀み、言い間違いなどの差異に注目していて、これはやっぱり行かないといけないと強く思わされた。引用されていた部分で、タルコフスキーが映画にとっての音楽家を妻と喩えていたのが面白い。口語で記録を多く録らせていたいたことと、芸術のなかでも音(楽)を重視していたことをつなげるのは早計だろうが、音の記録というものに関心があったのは間違いない。

夜は同室人とさっそく買ってきたグルジアワインを飲む。葡萄の甘さが強くてとても美味。面白い資料も読めたし、良い夜を過ごしたという気分とともに文字を打ちつけている。もし今日のことを振り返って録音で記録していたらずいぶんと印象の違うものになることだろう。