2022/10/25

今日も今日とて寒い。めずらしく太陽が出ている日が続いているが、雲がないぶん晴れのほうが気温が下がるし、今日は夜から雨が降ったのでよりいっそう冷えこんだ。

今日も今日とて映画を観る。«Сиротки»(Реж. Алексей Суховей)という孤児たちを追った群像劇テイストの180分ほど作品で、4部構成になっている。何人かの孤児を捉えているが、あきらかにサーシャという青年が主人公格として扱われている。結婚したと思ったらすぐに破綻する男で、しばしば嘘をつくようなどうしようもないけど憎めない感じ。疎遠な兄姉を探してКвартираを聞き込みしてまわり、ついに腹違い(?)の兄に電話するのだが、受話器越しに伝える会いたい気持ちが伝わらずすれちがってしまう場面は緊迫感があった。

映画を観終わり、いざ帰ろうとするが目当ての路線のバスが待てど暮らせどまったく来ない。おおよそ10分ごとに来るはずで、一本来ないことままあるが、二本分の時間丸々待っても、路線の違うバスばかりが来て、周りにいた人がどんどん乗って去って、新しい人が来て、その人までいなくなっていく。雨がしんしんと降り、足元の寒さは耐えがたく、まだ来ないのかとスマホで時刻表を確認する指先はそろそろ割れそうになり、いたずらにバス停一個分歩くなどして、いよいよもう歩いて帰った方が早いのではないかかと考えたころにようやく来た。40分遅れといったところで、バスの添乗員さんに、なんでこんなに遅れたんですか、と聞いてみると、こんなに? そう思うか? とキレ気味に返される。そうだよ、実際遅れたでしょうと(疲労のせいだけど)気圧されずに返すと無視された。

中心部の方を通る路線で、そのあたりからだんだん人が増えてきて、夜遅い時間にしてはめずらしくバスは満員になる。隣に座り合わせた初老の男が、いったい何やってたんだ、一時間も待ったぞと静かに文句を言っていた。今度も添乗員さんは語気を荒げて、モスクワ大通りが通行止めだったんだ、それだけだ、文句を言うなと応戦する。そうだったのかと疑問が氷解したが、自分にも説明してくれてもよかったじゃないか。ロシア語で説明してもわからないだろうと思われたか。僕よりも20分以上待っただろう隣人に同情しつつ、凍えた指先をこすりあわせていた。