2022/10/24

なんだか急激に寒くなった。どうやら体感だけでなく実測値でも氷点下となったらしい。0度を下回ると、まず地面のコンクリが冷えて足先から体温が奪われる。風の冷たさに足がすぐに凍えてしまう。気をつけないと霜焼けになるなあと思いつつ、まだ10月だということを考えるとちょっと恐ろしいことだ。例年通りなら、4月くらいまではおおむね氷点下を体感する日々が続くことになるはずだ。どうやってこの長い冬の季節を生き延びれば良いのかまったくわからない。

今日はПослание к человеку 2022という国際映画祭の作品を観るためにЛендокに行く。こちらに来て調べるまでぜんぜん知らなかったけど、今年で32回目を迎えるようで、今回は短編長編あわせて142作品も上映するとのこと。ウルス・フィッシャーによる彫刻作品のモスクワ設置をめぐる問題をあつかった実験的な短編"Триптих"(Реж. Яна Осман)ボリショイ劇場人気のペアであるウラディスラフ・ラントラートフとマリア・アレクサンドロワに密着した"Временные ограничения"(Реж. Ксения Гапченко)カムチャッカ半島からさらに東に位置するベーリング島からモスクワに行く一人の少年を追った"Уйти в остров"(Реж. Яна Чиж)、ユリエヴィッツに住む少年少女の青春を映した"Это течет в моей крови"(Реж. Маша Черная)と4本立て続けに観てさすがに疲れる。個人的なハイライトは、ベーリング島の強風で揺れる小さな家の内部の音。あと、2021年夏のユリエヴィッツにいて、自分の母親はレジ打ちをしても1ヶ月の給料が180ドルで、稼ぐためにロシア特殊作戦軍に入るんだ、誰かを殺すためではなく守るために行くんだと、友人たちの説得を振り切りながら言葉を継いでいるシーンも心に残った。当時の映像で、その少年が、はっきりと、ウクライナとの戦争があるんだと、2014年のウクライナ東部紛争以来の出来事について触れていて、ちょっと肝が冷える思いをした。直接的に目下の時局についてどうこう扱っているわけではもちろんないが、2021年の時点でこういう作品を撮って、今年のロシアで開催される映画祭で本作を上映しようと決めた運営と制作陣には敬意しかない。そして戦局や政治状況が今後どうなるのかも、やはりまったくわからないというのが正直なところだ。そういえばノルド・オスト事件で、外国人観光客ふくむ大勢の人間が死亡したのが今日からちょうど20年前のことだ。チェチェン紛争への反対を表明すべく劇場を占拠した武装勢力を鎮圧するために、当局の特殊部隊が使用した神経ガスによって多くの犠牲が生まれたという悲劇。二度と起こらないでほしいが、もしも類似の事件が起こるとしたら、やはり今なのだろう。いやはや。